このクリニックを建てる際、トイレの便器をどうするかという話になった。カタログを見るとカラフルな便器が並んでいる。私としては少しモダンな色の赤や黒が良いと提案した。だが設計士の人は「それは止めた方が良いですよ」と言われた。そして「便器は絶対に白です」と言われる。

 その理由を問うと「それは自分の便の色が観察できるからです。もし赤や黒だったら何の色か分かりませんよね。ですからもし病気になっても気が付かない。だから便器は基本白と決まっているのです。」

 なるほど確かにそうだ。動物の習性として排泄した便を見るというのがあるらしいが、人間も動物。確かに排便した後に、何気なく便をチラ見していますよね。それは動物の本能だとは気付きませんでした。それ程便の色は人の健康のバロメーターになっているのです。

 さて動物には出てくるもの、つまり「うんこ」には特別の思いがあるようです。最近ベストセラーズになっている「ざんねんな生き物事典」にも沢山うんこの話が出てきます。

①ウサギは自分のうんこを肛門から直に食べる

 ウサギは、自分のうんこを食べます。それもお尻に口をつけて食べます。植物だけを食べると動物の胃腸の中には、植物を分解するバクテリアが住んでいますが、植物を分解してたくさん増えたバクテリアは、うんこと一緒に出てきます。これを再び食べると、タンパク質など栄養がとれるのです。食べる用のうんこはねっとりしていて黒豆に似ています。

②イチモンジカメムシはうんこで敵を撃退する

 イチモンジカメムシの幼虫は、古い皮を背負い続けます。更にその上に、自分のうんこをどんどん乗せていくので、もはやうんこの塊にしか見えません。上から見ると鳥の糞やゴミに見えるため、敵に見つかりにくいというメリットもあります。また、それでも見つかってしまったときは、トゲトゲになった背中のうんこを振り回して必死に戦います。つまり、とことん、うんこに頼って生きているのです。

③ウォンバットのうんこは四角い

 ウォンバットのうんこはサイコロ形。彼らは自分の縄張りを知らせるのにうんこを使う為、丸いうんこではコロコロ転がって不便なのです。だから四角いのです。

④ダイコクコガネは親子そろって主食がうんこ

 ダイコクコガネの幼虫はうんこを食べています。そもそもうんこは食べ物の残りカスなので、あまり栄養がありません。しかし彼らはそれを大量に食べることで栄養を補うという作戦にでました。誰も食べたがらないうんこなら食べ放題という訳です。

 幼い子ども達、特に男の子は「うんこ」と大声で呼ぶ時期があります。それを言うことで親が反応して「そんなこと言うんじゃありません」と言うのを楽しんでいるのです。例えば代わりに「おかし」と呼んでも何の反応もないでしょう。しかし「うんこ」と言った瞬間、親は反応してしまうのです。でもうんこって、赤ちゃんだって美人女優だって出るのですから。その言葉を言わない方が不思議なのかもしれません。

 さて30年前から私は毎年人間ドックを受けています。その検査の中に便を採って血が混ざっているかどうかの検査があります。

 5,6年前その検査で初めて陽性が出たのです。知り合いの胃腸科の先生に相談すると「それは絶対に大腸検査をした方が良いですよ」と言われ検査しました。

 すると大きなポリープが見つかり切除しました。もしそのままほったらかしにしておいたら癌になっていたと言われ、ラッキーだったと安堵しました。

 今大腸癌は増え続け、男性の癌の3位を占めています。便の検査をするだけで早期発見出来るのだなとつくづく思いました。そう考えるとうんこって大切なものですね。臭い、汚いと言って避けないで下さい。何と言っても今まで自分の体の中にあったものですから…。