勘違いというものは誰にでもある。しかし中には吹き出しそうになるような勘違いというものもある。
その1、外来で注射する時に必ずアルコール綿で注射をする箇所を消毒する。中にはアルコールにまける人もいるので、必ず看護師が「アルコール大丈夫ですか?」と尋ねるようにしている。そしてアレルギーがあるようだったら、アルコール分が少ないので消毒する。
「アルコール大丈夫ですか?」と尋ねると殆どの人が「大丈夫」と答えるのであるが、「私アルコール全くだめなんですよ。ビールは一口飲んだだけで真っ赤になるの」と答える人もいる。しかし中には「私、アルコールすごく強いんです。昨日もビールを飲んだあと焼酎をお湯割り4.5杯も飲んでまだ飲み足りないので、それからスナック4.5軒ハシゴしてきました」なんてお酒の強いのをアピールする人もいる。
その2、当院で生まれた赤ちゃんが1歳になったら、必ず誕生日の電話をする。「元気にスクスク育っていますか?もう歩く?何か喋るようになった?母乳は飲ませているの?という質問をして今何㎏位あるの?」と尋ねると「今10㎏近くあります」と普通は答えるのに、「65㎏で全然まだ体重が減らなくて困っているの!先生なんとかして痩せる方法はないかしら?」と言うお母さんもいる。
私の方は赤ちゃんの体重を知りたいのだが、勘違いである。「あの~お母さんの体重じゃなくて赤ちゃんの方ね!と言うと「そうよね。私の体重なんか教えても何の役にも立たないわよね。アララ私の体重言っちゃって恥ずかしわ…アハハ」
その3、妊娠すると、まず血液検査をする。その中に血液型の項目がある。出産時出血が多い時、輸血が必要になることもあるからだ。その結果が分かりその血液型を告げると「えっ本当、私と同じ血液型だわ、旦那は妊娠した時から赤ちゃんは絶対旦那の血液型と同じだと言っていたけど違ったわね。旦那きっとがっかりするわ。でも凄いわね、私の血液で赤ちゃんの血液型が分かるなんて…」
「イヤ、あのこれはあなたの血液型で赤ちゃんのじゃないんだけど…」「えっそうなの?でも出生前診断ではお母さんの血液で赤ちゃんの異常が分かる訳でしょう?これじゃそれは分からないのね…。だから私の血液型と一緒だったという訳か…」
その4、赤ちゃんが、熱があったのでシロップの薬を処方した。お母さんに「よく振って飲ませてあげて下さいね。」と説明し帰ってもらった。そしたらおばぁちゃんから夜電話があった。
「娘が薬を飲ませた後に急に赤ちゃんを揺さぶり始めたのです。先生何か変なアドバイスしませんでしたか?」「イヤ、そんなことは言わなかったと思います」「じゃ、どうしてかしら?赤ちゃん振っているのは…。ちょっと頭がおかしくなったのではないでしょうか」「???」
「そう言えばシロップを渡す時、よく振って下さいねと言ったけどシロップの瓶をよく振って下さいと言わなくて手渡したので、もしかしたら間違って赤ちゃんを振ってしまったのかもしれないなぁ~」
電話口で確認するとまさにその通りだった。それで一件落着。
それにしても勘違いっていろいろあるもので…。