愛犬『ロキ』と大淀川の堤防の散歩の際、必ずする事がある。
それはリードを外し座らせ、「待て」と大きな掛け声をかけその場から離れるのだ。
その時にコツがある。時々振り返り、こちらに走ってこないか確認しながら離れて行くのである。
100m位は離れても、じっとこちらを恨めしそうに眺めて待っている。
そして立ち止り「おいで!」と言うと、ものすごい勢いで駆けて来る。
それは飼い主が犬が1番好きという気持ちになる瞬間なのである。
そのスピードは100mのオリンピック金メダリストのボルトより早い。
話は変わるが、数年前友人達と牡蠣鍋を囲んだ事がある。
その時、大好きなプリプリした牡蠣を人に食べられるもんかと、
充分火が通ってないのをまるでシャブシャブみたいにして食べた。
「谷口さん、ちょっとまだ早いんじゃないですか?まだ煮えてませんよ」と言われても、
食い意地が張っている私は待つ事が出来ないのだ。
「牡蠣はね、これ位レアの方が美味しいよ。だから通はこんな風に食べるの!」と言いながら、
パクパク食べた。1人で半分以上食べたので、ブーイングが起こった。
「本当に谷口さんは待てないんだから…困ったもんだね」と言われても馬耳東風。
割り勘なのだから早く食べた方が勝ちなのだ。だが、次の日、私は1日中トイレの中に居た。
見事、牡蠣が当たったのだ。ものすごい腹痛と下痢。
「牡蠣に当たるとひどい目にあいますよ」とは聞いていたが、こんなにすごいものだとは思わなかった。
やはり牡蠣には生食用と鍋用があり、鍋用は決して煮えていないのは
食べてはいけないというのを身を持って知った。
実は30年も前、大分の安心院で家内とスッポンを食べた事がある。
家内が「あなた、大丈夫?そんなに生煮えのスッポン食べても」と言うので、
「大丈夫。僕の胃袋は何を食べてもヘッチャラさ。ガラスや釘以外だったらね」
「でも、あまりにも早すぎない。もう少し煮えるまで待った方がいいわよ」
「大丈夫、この俺様の胃袋は『鉄の胃袋』と友達から呼ばれているんだから…」
初めてのスッポンだったので、早く食べたくてこの時もついまだ十分に煮えてないのを食べたのだ。
食べ終わり、帰ろうとすると何か気分が悪い。胸が締め付けられるような感じがして、呼吸が出来ないのだ。
周りに空気が沢山あるのに、吸っても吸っても肺の中に入ってこない。
車の座席に横になり、意識モウロウとなり、もうこの世ともおさらばかという位しんどかった。
診察してもらおうと思ったが、病院までは遠く、1時間位かかりそうなので、とにかく横になっていた。
1時間もするとようやく落ち着き帰った。それ以来、スッポン恐怖症になり、食べた事がない。
どうやら「待てない」という私の癖は変わらないようだ。
さて、ある時計メーカーが「どれくらい待てますか?」というアンケート調査をした。
それによると、パソコン起動1分、エレベーター待つ事30秒、スーパー、コンビニのレジ3分、
電車の遅れ5分だという。私同様いかに現代人が待つ事が苦手か分かる。
又、テレビを録画して、見る時CMを飛ばして見ているのは6割というから、
やはり待てないせっかちな人が多いという事になる。
ちなみに私も必ずチャプターを使ってCMを飛ばして見る。
すると3割位短く見る事が出来る。
しかも速見という機能を使うので5割増しの早さで見る事が出来、
1時間番組は30分もあれば十分見終わる。
待つという事は大切な事かもしれない。
しかし、現代人にとって待つというのは苦痛を伴う事なのだろう。
ちなみに20年位前にカップラーメンが出た時、「3分間待つのだぞ」というCMがあったが、
「そんな長く待てるか~」とテレビに向かって叫んだ憶えがある。
どうやら私は特に『待つ』という事が苦手らしい。
皆さんはどうですか?