私は原チャリをよく利用する。原チャリというのは、排気量50cc未満のバイクのことである。小さいので小回りが利くのと、何かあった時に渋滞にも巻き込まれることもない。だから万が一急なお産の時に呼ばれても直ぐに戻れるので便利である。50ccでありながら頼もしい乗り物なのだ。

 学生時代1ヵ月かけて北海道を一周したことがある。この時はホンダスーパーカブを友人から5000円で譲り受けたものだった。しかし北海道に行く前日に、ガソリンスタンドに入ろうとした車と正面衝突をして、ハンドルが曲がってしまったが、そのまま旅に出た。北海道一周をテント道具を乗せて自炊の旅である。

 歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の近くの海岸でキャンプ中、密入国者と間違われ掴まりそうになった。何せ歯舞、色丹までは海を渡って10kmもないのだから、ソ連からの密入国者が時々いるらしい。

 又、道路で一時停止の所を止まらなかったので、交通違反の切符を切られたこともある。その時ふてくされたら、警官が後ろの建物を指差して「文句があるならここに入れるぞ」と脅された。それをよく見ると“網走刑務所”と書いてあった。仕方ないので3000円の罰金を支払った。

 卒業した後も結構遠くまで出かけた。冬、人吉に行ったことがある。この時は帰り大雪で、加久藤峠が通行止めになった。だが何とか雪道の中バイクを押しながら峠を越え帰り着いた。帰り着いた時には身体が氷みたいに冷たくなっていて、手足が暫く伸ばせない位であった。

 そんな原チャリに今でも乗っているのだが、家族からは危ないからもう乗らないでと言われている。だがヘルメットを被り颯爽と走る楽しさは、経験した者にしか分からないだろう。

 ということでこの暑い時期でも乗っている。「暑いでしょ!」と言われるが、決して暑くない。但し信号で止まる時だけは照り返しで暑く地獄である。しかしまだまだ乗り続けようと思う。