日向夏が美味しい季節になってきた。まだ全国区的に名前が知れ渡っている訳ではないが、柑橘系通の私としては、柑橘系の中で一番美味しいのではないかと思う。原産地は宮崎県で、1820年に宮崎市の真方安太郎氏の邸内で偶然見つかったという。約200年前の話である。

 日向夏の食べ方には特徴がある。それはまずリンゴを剥くように皮を剥いていくのである。その時アルベトという白い薄い内果皮部分を残すのがコツである。それをザク切りにして食べるのだ。一昔前は酸っぱい品種だったので、それに砂糖をかけて食べていた。しかし今は充分甘いので、そのまま食べることが多い。中には醤油をかけて食べる人もいる。宮崎醤油はかなり甘口なので、まるで刺身を食べているみたいで焼酎のツマミに良いという。又、レタス巻きにも使われることがある。

 そう、他の柑橘系とは少し違ったものなのだ。まぁ初めて食べる人は戸惑うに違いない。しかし段々と県外の人にも知られるようになり、空港に行くと今の季節は売店で山積みになっている。種が多いので食べにくい欠点があるのだが、最近のは種無しのものも多く出回っている。そのまま食べるのが普通であるが、これをそのままサラダに入れて食べるのもとても美味しい。

 さてリンゴのようにむかれた皮は捨てないで欲しい。昔からこの皮を使ってマーマレードを作っていた。少し手間はかかるが、少し苦みばしった大人のジャムが出来上がる。

 ところで私の楽しみはこの皮を集めて玉ねぎが入っているような赤いネットに入れる。そしてそれを風呂に浮かべるのである。元々日向夏は柚子が突然変異したものなので、柚子湯の代わりになるのだ。実際にやってみると柚子よりかなり香りがある。その網をギュッと絞ると皮から出る油脂の香りがパーッとお風呂に広がり、至福の時を過ごせる。どういう訳か実に幸せな気分に浸れるのである。

 風呂から上がる時にその油膜が体にまとわり付き、そのままベッドに入ると心から安らぎを感じながら幸せな気分で眠りに落ちる。是非皆さんも一度お試しあれ。