私は肩書きというものが嫌いだ。例えば、医学部を卒業すると大学に何年か残り、医学博士号を取る。そしてそれを名刺の肩書きとして一生使うのである。私などはそういう医学博士には全く興味もないし、なろうとも思わないし、もし欲しくて頑張っても私の能力では絶対に取れないだろう。

 だから医学博士と肩書きがついた名刺を渡されると「ほっ凄い」と思うのと同時に「それが一体何なんだ」と開き直る捻くれた性格である。まぁある人にとっては大切なものかも知れないが、開業している身にとってはそれは何の役にも立たないのだ。そして今の時代はそういう肩書きも通じない時代になってきている。

 そうはいっても、やはり肩書きというのは必要なこともある。或いは無いと淋しいので、定年後の肩書きに「庭師」「農家人」「孫守隊長」などと刷り込んで人に渡す人もいるらしい。確かに肩書きのない名刺は何をしている人なのか分からないので、貰っても困ることがある。

 さて私の名刺の肩書きが2つ書いてある。一つは『みやざきエッセイストクラブ会長』もう一つは『宮崎大学医学部看護学科臨床教授』である。それを見ただけで「へ~凄い人なんだ」なんて思われる。しかし中身といえば、週に1回宮崎大学看護学部の学生が実習に来て、その生徒達と1時間位雑談をして、ピアノを私が弾いて聴いてもらうというだけのことである。

 それでも毎年3月になると大学から「貴方を宮崎大学医学部看護学科臨床教授に任命する」という通知が来る。それを受け取る度にこそばゆい気持ちになる。大したことを教えていないのに教授の肩書きがつくなんて…。たかが肩書き、されど肩書き。肩書きなんてそんなものだろう。