私は根っから音楽好きだと自分で思う。そのスタートになったのはビートルズやベンチャーズ、
映画音楽、ポピュラー音楽などだ。休日になると好きなCDをレンタルショップから借りて来る。
最近では5枚1000円などというリーズナブルなお店もあり、その為CDを買う事はめったにない。
それをまずMDにダビングする。そしてその他にカセットテープにもダビングするのだ。
MDは車に乗った時にカーステレオで楽しみ、カセットは朝『ロキ』との散歩の際、腰から小さなポシェットを下げ
その中に手のひらサイズのカセットレコーダーを入れ、歩きながら約1時間楽しむ。
ウォーキングしている人達は、最近はみんな『ipod』みたいな小さなものにダウンロードして、
それをイヤホンで楽しんでいるので、スピーカーから流れる音楽に、すれ違う人は振り返り不思議そうな顔をする。
中には「この人頭がおかしいのではないか」と不安気に避けながらすれ違う人もいる。
 病院では有線をつけっぱなしにして仕事をしている。その曲はスタンダードナンバーやボサノヴァが多い。
仕事しながら音楽を楽しんでいるので、いつも心はウキウキだ。
 高校時代はクラスメートと一緒にバンドを組み、ギターやピアノをバックにグループサウンドや
ポピュラーやビートルズの曲を歌っていた。
医師になってもやはりバンドを組み、年に一回他のバンド仲間と大きな会場を借り、演奏した事もある。
開業してからもグランドピアノを待合室に置き、定期的にピアノを楽しんでいる。
 そんな私の夢はジャズを歌う事である。それもピアノの弾き語りである。
そこでそのような教室はないかと探していたら先日ようやく見つけた。
『Whoopinのジャズヴォーカル講座』というものだ。これだ!!とすぐ申し込みをした。
 レッスン会場に行ってみると、生徒は約10人。若い女性ばかりだった。まずは体をほぐす為に体操15分。
次に口を大きく開けて「アオイエアウ」と口筋のウォーミングアップそして発声練習。
その後、半音ずつ1オクターブを「アアアアアアアアアー」とくり返し声を出すのだ。
声を出してみると最近こんな大声を上げるのは久しぶりだという事に気付いた。
それが終わると今度はイソップ童話の『よくばりなイヌ』というタイトルの有名な童話を朗読するのである。
何故童話を?と思われるかもしれないが、童話を楽しい所は楽しく、悲しい所は悲しく、嬉しい所は嬉しく、
怖い所は怖く表現をしなくては子供は喜ばない。つまり感情移入という手法である。
まさに『目からウロコ』というのはこういう事を言うのだろう。
アドリブが必要で、感情込めて歌わなくてはならないジャズにはピッタリなのである。
帰りに「時間がある時はいつも腹の底から声を出す練習をして下さい。そしていつでもどこでも発声して下さい」と言われた。
 次の日、朝の散歩の時に堤防の誰も居ない所で大声を上げながら歩いた。
周り200m以内には誰も居ないという事を確認しながらである。すると突然その声にビックリしたのか、
木の上に居たカラスが突然20羽くらい飛び立った。ちょっとビックリした様子だったので、
悪い事をしたなぁと思いながら通り過ぎた。
 車を運転している時も、発声練習をしようとカーステレオを聴きながら大きな声で歌う事にした。
先日は信号で止まったら、周りの人が「変な人が来た」というような目つきをしている。
何故だろうと思ったら、窓を開けっぱなしで発声練習をしていたのだ。
ああ恥ずかしいと思いながら車を急いで発進させた。
 この教室の最終目標はライブハウスでソロで歌うというものだ。
3ヵ月間みっちり練習し、その舞台に立てるように今日も朝起きてすぐ発声練習をした。
腹も引っ込み、まさに一石二鳥である。